珈琲の香り
学校までは電車で二駅。

駅から歩いて10分。


やっぱりバイクの方が早いじゃない!!


バイク置き場にはもうバイクが置いてあって、その脇には………


「蒼くん!!」


ニタニタと意味ありげな笑顔で立つ蒼くんがいて。

あー、さっきの電車のことを思い出すと腹立つ!

私がいけないんだけど!

八つ当たりだってわかってるけど!

それでも、このニタニタ顏を見たらやっぱり……


「蒼くんのせいで恥ずかしい思いしたんだから!」

「ぼ、僕?バイク借りただけで、何で?

僕が何したっていうんだよ〜」

「何もしてない!

何もしてないけど…あ〜!!もう!」


まさか『電車の中で独り言言って、周りに引かれました』とは言えない…

そんなこと蒼くんに言うくらいなら黙ってる方がいい。


思い出して恥ずかしくなって、俯いたまま研究室に向かうことになっちゃいました。

…でも、蒼くんは気になるみたいで、

『僕が何したっていうんだよ〜』

って、ずっと

騒いでた。




………………………………最近、蒼くんのイメージ、変わってきてる。

もっと大人だったのに。

大人で、王子様のような人だったのに。

私と付き合って?から、学校でも素の蒼くんが出てきたみたい。

いいのかな?

蒼くんのファンの子達、幻滅しないかな?


蒼くんは至って気にしてないみたいだけど。

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