珈琲の香り
蒼くんと二人で校内を歩くと、やっぱり突き刺さる視線が痛い。

『別れたのに』

『フられたくせに』

『何でまだ一緒に歩いてるの』


そんな視線が突き刺さる。


やっぱり……王子様なんだよね。




「蒼くん……先に行って……」

「何で?気にすることないだろ?

フったのは僕なんだし、教室一緒なんだし。

それに……」

「それに?」

「僕が一緒にいたい。」



…………その言葉、涼さんから聞きたいよ………

そんなこと、一切言ってくれなくて。

会うのはいつもお店の中で。

夏休みが終わってからは、二人っきりになることもできなくて……


「ねえ、蒼くん…

涼さんは、私のこと好きなのかな?」

「僕にそれ聞く?

でも、何でそんなこと思うの?」

「だって…………………………お店以外で会ってくれないんだもん………」

「ブっ!アハハハハ〜。

その言葉だけ聞いてると、ホストとお客みたいだよ!

店外デートが出来ません!って!!」

「笑い事じゃないの〜!

真剣なんだから!

好きだって言ってくれるわけでもないし、お店以外で会えないし。

二人っきりになることもないんだから………」


< 156 / 174 >

この作品をシェア

pagetop