珈琲の香り
好きなのに…

一緒にいれるだけで幸せだけど、やっぱり二人っきりになりたい。

普通にデートしたい……


「何だか、私が一方的に好きなだけで、あの時の涼さんの告白は夢だったんじゃないかって…

そう思うことがあって…

そう思ったら、悲しくなっちゃって…

蒼くんと一緒にいる時は、そんなこと考えた事なかったのに。

優しくされるにが怖くて。

女の子扱いされるのが怖くて。

でも、今はそうされたいって思ってる。

…………………わがまま………………………………………………………だよね」



そう言って立ち止まる私の頭には、蒼くんの優しくて大きな手が乗る。

温かくて、大きくて…

私はこの手を離して、あの無口で無愛想な涼さんを選んだんだ。

そう思うと、ちょっとだけ胸がチクっと痛む。

そして、ちょっとだけずるいことを考えてしまう。

あの時、涼さんを選ばなかったら…

蒼くんと笑いあっていたのに…

きっと………こんなことで悩まなかったのに………



「ど、どうしたの?」


動揺した蒼くんの声で、気がついた。


私………泣いて…………る…………………

ズルい………よね………

今、この状況でなくなんて……

本当にズルい………




「ご……めん………ね…………」

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