珈琲の香り
あの大きな体からは想像できないほど、無駄のない動きで豆を挽く。

その動作の一つ一つが絵になりそうなほどきれいで、目が離せない。


こんな風にきれいにコーヒーを淹れる人、初めてだよ!


「桜……見つけてくれてありがと!」

「飲む前から気に入ったんだ。よかったー」

「無口で無愛想なのは気になるけど、注文を受けてから豆を挽くなんて、言うことなしだよ!」


小さい声であれこれ言い合う私たち。

だけど、静かすぎる店内には十分大きく響いていて……


「…丸聞こえだよ」


ギャー!

丸聞こえって!

すごい恥ずかしい!

恐る恐るカウンターのマスターを見ると……

あの涼やかな一重の目が、本の少しだけ笑ってるように見えて………

心臓がドキンってなった気がした。





「……はい。お待たせ」


さっきのことなんてなかったかのように涼やかな顔をして、コーヒーとホットミルクを置いてくれたんだけど……


「可愛い~」


ホットミルクの表面には、二人の女の子が笑ってる顔が描かれていた。

それが私と桜に何となく似ていて、嬉しくなる。


「…双子でしょ……君たち……」


す、すごい……

初対面で、私たちを双子だって言い当てた人、初めてだ……

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