珈琲の香り
「……涼さん………私は……

本当に知らなかったの………

蒼くんのしたことは、許されることじゃない。

涼さんだけじゃなく、蒼くん自身も傷つくから。

それでも、あんな事をしたのは………

私が涼さんの気持ちを疑っていたから…

いつも何も言ってくれなくて、会えるのはお店だけで。

あの日、風花さんのお墓の前で言ってくれたことは夢だったんじゃないかって……

でも、そんなことを涼さんには言えなくて。

ため息ばかりつく私に、蒼くんは…………」

「あの日、風花の墓の前で言ったことは夢なんかじゃない!!

……確かに俺は何も言わない。

店以外でデートすることもなかったよ。

でもな、店でお前と会えるのが楽しかったよ。

一緒に仕事してて楽しいんだよ。

お前と………一緒にいたいって……」




私、本当にバカね……

蒼くんの優しさに甘えて、涼さんを傷つけて……

今さらわかるなんて……


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