珈琲の香り
い、今なんて?!

ここでバイト?…ていうか、何で私なの?


完全にパニックで、頭の中が真っ白!!

だって、新藤君は桜狙いで、私なんて同じ研究室の人間としか持ってなくて…

まあ、研究室でも知らない人がいないくらいコーヒーが好きだし…

だけど…だからって…何で私?


何をどう聞いていいのかわからなくて、口がパクパクと開いては閉じて…を繰り返してる。

こ…呼吸もどうやっていいかわかんないー!!


「突然で驚くよね。…兄ちゃん、見た目があんなんでしょ?コーヒーは美味しいのに、あの顔のせいでお客さんが少ないんだよ…だから、樹みたいな子がいてくれると、違うかな?って」

「……バイト募集した覚えはないが…」

「兄ちゃんは黙ってて!」


珍しく語気を荒くする新藤君に驚いたけど。

…そうだよね。マスターの言うとおり…

バイト募集なんて書いてないし、それよりなにより、今日初めて来たんだし…



「…いっちゃん?」

「え…?…あ…その…おいしいコーヒーが飲めるから嬉しいけど…募集してないって…」


正直言っちゃえば、ここでバイトしたい。

新藤君のお兄さんのお店なら、研究室以外で新藤君に会えることが増えるし…

それに…こんなに美味しいコーヒー飲めるなら、バイト代いらないから働かせてほしい…なんて。


「…――こき使われると思って、覚悟して来い」


…え?それって…


「樹のバイト、決定!!」

「いっちゃん!頑張ってね!!」


えー!!!

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