珈琲の香り
「い、いいんですか?!桜の方が可愛いし、華がありますよ?!」

「…俺のコーヒー、美味いといっただろう?」

「い…言いました……言いましたが…」

「…それでいい。同じ子供なら、味のわかる方がいい」


…同じゼミって、新藤君が言ったのに…

子供、子供って…

悔しー!!!


「――子供じゃありません!新藤君と同じ年です!」


ブゥと頬を膨らませてみせると、涼しげな一重の瞳が柔らかく緩む。

無口で無愛想で、ちょっと怖そうに見えるけど、本当はすごく優しい人なんだろうな…


「…子供じゃねえか…」


――!前言撤回!

優しくなんかない!!!


こうして私は、初めて入った喫茶店でおいしいコーヒーとアルバイトを手に入れた。




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