珈琲の香り
―――翌日


講義は午後からと言う桜を置いて、私はマスターのところへ向かった。

目的はひとつ。

朝から美味しいコーヒーを飲みたいんだよー。



昨日、あれからバイトについての細かい話し合いをした。

『開店は朝8時から夜8時まで。バイトの時間は特に決めない。好きなときに来て、好きなだけ働いていけ。その代わり、キツいことを覚悟しろ。』


マスターとの約束はそれだけ。

しかも、これで時給も悪くないんだよね……

でも……キツいって……

何させられるんだろう?


不安だ……


でも、どうにかなるでしょ!



「おはよーございまーす……」


って、何これ?!


昨日来たときはがらがらだった店内が、今朝は溢れんばかりの人!

スーツを着たサラリーマンから、近所の奥さまらしき人まで、みーんなコーヒー飲んでる?!


「……いいところに来た。これ持っていけ」

「どこですか?」

「……窓際のサラリーマン」

カウンターから手渡されたのは、トーストとサラダ、コーヒーの入ったカップの乗ったプレート。


……モーニングもやってるんだ………


しかし……このお客さんの多さはなんなのー!

これをたった一人でやってきたの?

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