珈琲の香り
翌朝、やっぱり二日酔いになった桜を置いて部屋を出た。


結局……桜に相談できなかった……

昨日の事。蒼くんが名前で呼んでほしいって言ったこと。

蒼くんって……私の事、どう思ってるのかな?


それを、桜に聞きたかったのに……


「それにしても、浮気……ねぇ……」

「…浮気もいいが、これ持っていけ」

「――!」



いけないっ!ボーッとしてた!

朝の忙しい時間にボーッとするなんて!

ダメダメ!今は集中よ!集中!


頭をブンブンと振って、桜も、環さんも、浮気も、蒼くんも追い出さなきや。



ブンブンってね!


「…おい」


………怖い顔の涼さんに睨まれました……


「バイト中は仕事に集中…ですよねー」


あははーって笑う私に、涼さんは相変わらず怖い顔で睨んでて……


「…――にいちゃん!樹を苛めなーい」

「し…じゃなくて、蒼くん。」

救世主登場!

よかったー…のかな?


「…何しに来た」

「コーヒー飲みに来た。ついでに樹も迎えに来た」


ついで……ですか……

ついてでも嬉しいもんっ!

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