珈琲の香り
「わ……私も……。私も蒼くんが好きです……」


絞り出した声は、ちゃんと蒼くんに届いたようで……


「きゃっ!」


シトラスの香りのする、蒼くんの腕の中に抱き締められていた。


「すげー……嬉しい……」


それは私のセリフです……

そう言いたかったけど、嬉しすぎて声がでなかった………




「せ……蒼くん……学校……」

「あっ!遅刻しちゃうね……」


蒼くんが名残惜しそうに手を離す。


神様!ありがとう!

何度感謝してもまだ足りないくらい、感謝してます!

アイラブ神様!


「…――樹。手、繋ごうか……?」

「……はい」


差し出された手をそっと繋ぐと、ギュッと強く握り返された。

…蒼くんの手、おっきいな……涼さんとどっちが大きいだろう?

きっと、涼さんの方が……って、私、何で涼さんと比べてるんだろう?

涼さんの手なんて、比べる必要ないのに……


「…――樹?」

「あ……ごめんなさい。行きましょうか?」


繋がれた蒼くんの手をそっと握り返して、私たちは学校へ向かった。


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