珈琲の香り
外食っていうと、大抵ラーメン屋さんか定食屋さんで、それは桜と二人で食べに出ても同じ。

こういうときのために、もう少し女の子らしいお店に行っておけばよかった……


そんな脳内会議が顔に出ていたのか、蒼くんは隣でクスクス笑っている。


は……恥ずかしい……


「樹は、お酒飲めるんだよね?」

「うん…一応二十歳超えてるから…」

「じゃあ、居酒屋でもいい?」


のんびり歩いていても、いつの間にか駅前まで歩いてきていて、目の前には居酒屋の看板があった。

…初デートが居酒屋って…

私の“ラーメン屋”と発想が似てる?




「っらっしゃい!!」


扉を開けると、元気いっぱいの店員さんの声がかかって、


「お二人ですか?テーブルとカウンター、どちらにしましょう?」


なんて言われて、


「テーブルで」


なんて答えてる蒼くんがいる。


そう言えば…蒼くんとお酒、飲んだことなかったな…

研究室の飲み会も、予定が合わなかったり、体調崩してたりで、一緒になることなかったし。

今更だけど…ちょっと緊張する…

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