珈琲の香り
「ねぇ、涼さん。蒼くんは私のどこがよくて好きになってくれたのかな……?」

「知らねぇよ。……俺に聞くな。」

「そうだけどー」

「そうだけどーじゃねぇよ。自分で聞け」


うー……


わかってるの。自分で聞かなきゃいけないって。

だけど、聞けないじゃん!

白黒つけたいけど、聞いたら何かが変わっちゃう気もするし。

……いつからこんなにヘタレになっちゃったんだろう?

相手が蒼くんじゃなくて、涼さんだったら?


………たぶん………聞けた。

冗談っぽく、「どこが好き?」って。


「……あー………やっぱりヘンかも………」

「何がだ?」

「何もかも!私も、蒼くんも、涼さんも!!全部ヘン!」

「…俺もかよ」

「もうみんなヘンだー!」

「アイスコーヒーで酔うなよ……」



…――そうだった。

目の前にあるのはアイスコーヒーで、今は思いっきり午前中で。

もう少ししたら、蒼くんも来る。

だけど、あと少しだけ。

もう少しだけ涼さんと話してたいって思うのは……

ズルい……よね。

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