珈琲の香り
いつかは、慣れるのかな?

こうやって、可愛いって言ってもらうことにも、甘い眼差しにも……慣れなきゃいけないよね。


…――っていうか、慣れの問題?

慣れたら慣れたで、問題な気もするし。


やっぱり恋愛は答えがなくて難しい。


…――答えがないで思い出した!

私たち、どこに向かってるんだろう?

とりあえず駅に向かってはいるけど、蒼くんも何も言わないから…


「ねぇ、蒼くん。どこ行くの?」

「……どこ行こうか?」

「蒼くん、行きたいところがあって迎えに来てくれたんじゃ……」

「何も考えてなかった。樹は?行きたいところ、ある?」



……これが蒼くんの素の姿?

いつも準備万端で、リーダーシップがあって……そんな人だと思ってた。

だけど、そうでもないのかな?


「今日は樹に付き合う。行きたいところ、決めて」


うーん……

行きたいところ……

行きたいところは、ある。

あるけど、デートでいくような所じゃないし。


こういうとき、桜みたいに可愛いこと言えたらいいのに…

可愛いこと、言えないんだよね。

それに、女の子らしい場所なんて、知らないし。


蒼くん、隣でニコニコして待ってるよ。

どうしよう?言っていいのかな?


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