珈琲の香り
「…蒼君……」
店を飛び出した蒼君は、そのまま店の壁に寄りかかっていた。
小さな子供が、母親を待つように。
「……何となく…わかってたんだ。樹が、にいちゃんに引かれてるって。わかってたけど……認めたくなかったんだ……」
「…そんな……こと……」
ないって言えなかった。
蒼君の言う通り、私は涼さんに惹かれてる。
涼さんに抱き締められて、自分の気持ちがはっきりした。
「ごめん……」
「何で謝るの?樹の気持ちは誰のものでもない、樹のものだよ。」
「でも……」
「謝らないでよ。僕が惨めになる。」
「…ごめんね……」
「ほらっ。また謝る。」
「ごめん……あ………」
そう言って口許を押さえた私を、蒼君は小さく笑った。
私、ずっと蒼君に片想いしてたんだよ。
ずっと近くで、蒼君を見てたの。
だから、蒼君が私を好きだって言ってくれたこと、本当に嬉しかったんだ。
学校一の有名人。
王子さまのような蒼君が、私みたいな女の子を好きだって言ってくれて、天にも昇る気持ちだった。
それは本当だよ。
でもね、どうしてかな?
涼さんが私の心に住み着いて、離れなくなっちゃったの。
無愛想で、無口で、意地悪なのに。
いつの間にか涼さんが離れなくなっちゃったの。
店を飛び出した蒼君は、そのまま店の壁に寄りかかっていた。
小さな子供が、母親を待つように。
「……何となく…わかってたんだ。樹が、にいちゃんに引かれてるって。わかってたけど……認めたくなかったんだ……」
「…そんな……こと……」
ないって言えなかった。
蒼君の言う通り、私は涼さんに惹かれてる。
涼さんに抱き締められて、自分の気持ちがはっきりした。
「ごめん……」
「何で謝るの?樹の気持ちは誰のものでもない、樹のものだよ。」
「でも……」
「謝らないでよ。僕が惨めになる。」
「…ごめんね……」
「ほらっ。また謝る。」
「ごめん……あ………」
そう言って口許を押さえた私を、蒼君は小さく笑った。
私、ずっと蒼君に片想いしてたんだよ。
ずっと近くで、蒼君を見てたの。
だから、蒼君が私を好きだって言ってくれたこと、本当に嬉しかったんだ。
学校一の有名人。
王子さまのような蒼君が、私みたいな女の子を好きだって言ってくれて、天にも昇る気持ちだった。
それは本当だよ。
でもね、どうしてかな?
涼さんが私の心に住み着いて、離れなくなっちゃったの。
無愛想で、無口で、意地悪なのに。
いつの間にか涼さんが離れなくなっちゃったの。