珈琲の香り
蒼君の後ろ姿が見えなくなる。
それでも私は動けなかった。
どんな顔をして戻ればいいのか…それすらわからない。
「…遅い」
声に驚いて振り返ると、そこには見慣れたエプロンが立っていた。
「……すいません……」
「いや。蒼との話が長引いてるんだろうとは思ったけど……気になってな。」
気になって……
それは、蒼君のことが?
それとも、私が?
そんなことを考えてる自分が嫌だ。
「蒼は……?」
「……蒼君…帰りました……。」
「そうか……」
落ちる沈黙が痛い。
涼さんをまっすぐ見ることができない。
何も聞かないでいてくれる。
涼さんの優しさが痛い。
蒼君を傷つけてまで、やっと自分の気持ちに気づいたのに……
「蒼の誤解は解けたのか?」
「……蒼君とは……終わっちゃいました……」
「…そうか」
「はい……」
そう。蒼君とは終わった。
こんな私を好きになってくれた蒼君。
その手をほどいたのは私。
それでも『幸せになれ』。
そう言ってくれた……
でも、どうしたらいいの?
涼さんのことを聞いた今、私はどうしたらいい?
このまままっすぐ、涼さんにだけ気持ちを向けていていいの?
それでも私は動けなかった。
どんな顔をして戻ればいいのか…それすらわからない。
「…遅い」
声に驚いて振り返ると、そこには見慣れたエプロンが立っていた。
「……すいません……」
「いや。蒼との話が長引いてるんだろうとは思ったけど……気になってな。」
気になって……
それは、蒼君のことが?
それとも、私が?
そんなことを考えてる自分が嫌だ。
「蒼は……?」
「……蒼君…帰りました……。」
「そうか……」
落ちる沈黙が痛い。
涼さんをまっすぐ見ることができない。
何も聞かないでいてくれる。
涼さんの優しさが痛い。
蒼君を傷つけてまで、やっと自分の気持ちに気づいたのに……
「蒼の誤解は解けたのか?」
「……蒼君とは……終わっちゃいました……」
「…そうか」
「はい……」
そう。蒼君とは終わった。
こんな私を好きになってくれた蒼君。
その手をほどいたのは私。
それでも『幸せになれ』。
そう言ってくれた……
でも、どうしたらいいの?
涼さんのことを聞いた今、私はどうしたらいい?
このまままっすぐ、涼さんにだけ気持ちを向けていていいの?