LAST GAME
「 優勝オメデトウ。 」
「 ……嬉しくも、何ともないよ…… 」
教官のやけに落ち着いた声。
その声さえも、今は苛立ちの種にしかならない。
その声さえも、今は頭の中に響いてこない
屍の山。血の海。全てが作られた惨劇だ。
これこそ、政府のシナリオどおりだろう。
このゲームの首謀者さん……
これで満足なの?
気が付いたら私…いいや、
私たちはこの最低最悪物語の主人公だ。
他の登場人物は私たち以外もう居ない。
生きることを赦された。
死ぬことは赦されなかった。
物語の舞台に立つことを赦されたのは
私たちの極少人数だけ。
数多の命を犠牲にして、今私たちの命は存在するのだ。
今、『 罪は何? 』と咎められたら、私は間違いなく
『 私が生きていること、私の存在自体が罪です。 』
と、答えなければならないのだろう。
その罪を償うことが出来るのは私が死ぬときだけ。
繰り返される終焉の無い惨劇…現実。
醒めることは許されない悪夢―…。
生きて生きて、そして死に逝く為に存在するのだ。
死に場所を求め、そして私は今日も地獄への道をひたすらと歩んでいく。
絶対守りぬくから。
ドウヤッテ?ワタシハタダノムリョクデシカナイノヨ。
絶対、一緒に生きよう?
イキノコルノハ、ヒトリデショウ?
心で想ってることと正反対に、もう一人の私が皮肉に囁く。
また、今日も惨劇が繰り広げられる。
今度こそ、私は守り抜いてみせる。
果たしてみせる…。
決して果たされることのなかった、約束だけを―…。