LAST GAME
招待状
夏のまだ日が高く蒸し暑い昼間。
双子の兄の尚登は、暑中見舞いだか手紙の整理をしていた。
パジャマから適当にTシャツとジーパンと言う楽な服装。
顔も洗って適当に髪もといて尚登のいる居間のソファーに座る。
座ると同時に、尚登の声が耳に響く。
「 おい、手紙来てるぞ 」
そういって乱暴に投げ出された手紙。
何で投げるの、と文句を言いながらもその床に落ちた手紙を拾う。
それは、白と黒のタイト柄のシンプルな封筒だった。
表には、「和泉 奈央様」と住所がきれいな字で書かれていた。
裏、表を見ても誰の名前も書いていない。
嫌な予感が、胸をよぎる。
寒くも無いのに、汗が吹き出る。
ゴクリ、とノドを鳴らし唾を飲み込み
ゆっくりと封筒に手をかける。
尚登は、暑中見舞いを見て微笑んでいる。
ビリ、ビリ…
封筒を破く音と、TVのニュースを読むアナウンサーの声がやけに響く。
心臓が煩いぐらいにドクドクと高鳴っているのが分る。
「 奈央ー、お茶飲む?? 」
ビクッ、と肩が震えたのが自分でも分った。
…尚登は自分宛の暑中見舞いをすべて読み終わったらしく
冷蔵庫の前に立って腰に手を当てて首を傾げている。
「 ああ、うん。頂戴… 」
尚登に視線を向け、再び封筒を目にする。
半分ほどまで破られた封筒。
一思いに、ビリっと封筒を破る。
そこにあるのが、招待状だとも想わずに。
( …宴の、始まりか… )