桜が求めた愛の行方
『違うっ!誤解よ!』
『今さらそんな言い訳が通用するか!』
『言い訳じゃないの、ニールは……』
『あの男の名を俺の前で呼ぶな!』
『でもっ』
『俺はまんまと騙されていた訳だ』
『騙してなんかないわ、それに彼は……』
『いい!今は誰のものかわからせてやる!』
冷静になって思い出すと
さくらは否定の言葉を言ってたじゃないか!
無視したのは俺だ、本当は違うのか?
あの男とは特別な関係でないと?
『それで?とりあえずその男はどこの
誰だったんだ?調べたんだろ?』
『…………』
崇の言葉に頭を鈍器で殴られたような衝撃を
受ける。
俺はあの男を調べてもいない。
あの男がさくらをベイビーなどと呼ぶから
すべてを投げ出してしまった。
俺はまたしても、手に入れようとすれば
わかる情報を得ずに判断を?
『調べてない』
3人は互いに目を合わせ呆れたという
顔をした。
『話にならないな、少し頭を冷やせ。
おまえの話す妻は、俺の知ってるさくら ちゃんとは別人だ』
零士は勇斗の肩に手を置いて、
蒼真に頷くと帰っていった。
『今日は俺が払っておく、次は勇斗の
奢りだからな』
崇も蒼真に頷いて出ていった。
『さて俺たちも帰ろうか、家の車で送るよ』
蒼真は項垂れる勇斗を立たせた。