桜が求めた愛の行方
『さくら!!』
ベッドに丸まっている塊を掻き抱いた。
『ゆうと?苦しい……』
寝ぼけているさくらは抵抗はしない。
『さくら、愛してる』
『私も愛してるよ』
躊躇いなく返答されて、不覚にも涙が溢れた
『さくら……』
なんてことだよ!
ああ神よ、俺はこれに感謝するには
どんな良い行いをしたらいいんだ?
それとも要人さんが助けてくれたのか?
俺にさくらを託してくれるってことか?
さくらが腕の中にいるだけで、
都合の良い考えが浮かぶ自分が
可笑しくなった。
愛しい存在を抱き締めたまま、
くぐもった笑いが
だんだん豪快なものになる。
『ふっ…くくっ……ははっ…ははははっ』
『えっ!?うそっ!!本物?!』
肩を揺らして笑い始めると、
さくらはようやく夢から覚めたようだ。
『ただいま、俺の奥さん』
堪えきれず、顔中にキスの雨を降らせる。
『お、かえり…なさい?』
『起きたか?』
『う、うん……あの……』
『さくら……俺が悪かった…許して欲しい』
男の醜い嫉妬など二度と犯さない。
『もう二度とあんな事はしない』
『ど…して?』
戸惑う瞳がだんだん潤んでいる。
『頼む、泣かないでくれ』
そう言う自分の声も掠れている。
『さっきのは夢じゃないの?』
大きな瞳からぽろぽろとこぼれ出す涙に
勇斗の胸がぎゅっと締め付けられる。