桜が求めた愛の行方
『お願い、夢なら覚めないで』

さくらが懇願している。

ちくしょう、誰でもいいから
今すぐ俺を思い切り殴ってくれ!!

『現実だとわかってくれるまで、
 何度でも言う、
 愛してる…さくら、愛してるよ』

『ゆうと!』

わっと泣き崩れる愛しい存在を、
力一杯きつく抱き締めた。
もう二度と、二度と離すものか!

『……好き』

『ああ』

『だい…すきよ……』

『ああ、俺も大好きだ』

『……うっ……』

『さくら頼む、俺にも言ってくれ』

さっきの言葉が夢でないと
こんなに愚かな俺をおまえは・・・・・・

頬を伝う涙を指で優しく拭う。

『…あい…してる……』

『ああ、俺も、愛してる』

優しく唇を重ねるつもりが、
触れあった瞬間にどちらともなく
激しく求めあった。

『んんっ……ゆうと……わたし…』

『何も言わなくていい』

『はぁ……んっ聞いて……』

『あとで聞く……今は無理だ……』

『あっ……』

初めてさくらを抱いた時から、
自分の中の欲望が果てを知らない。
甘いさくらの身体は、求めても求めても
足りない。

『さくら……』

名前をよんで、着ていたものを剥ぎ取った。

仄かな灯りに陶器のように白く滑らかな
肌が現れる。
鎖骨に薄く残る噛みつくような跡を見つけた。
こんな手荒な真似をした俺を愛してると
言うなんて、本当に奇跡だろ。

消えるわけないとわかっていても、
優しく擦らずにはいられなかった。

『へいきよ?』

さくらの手が重なって止めさせる。

『すまない……辛かっただろ』

『ううん……これが消える方が辛かった…
 あなたをもう感じられなくなる…んんっ』

最後まで言わせず、吐息ごと飲み込むように
唇を深く重ねた。
さくらもそれに応えて舌を絡ませてくる。

『消さないで……あなたの印……』

愛しさと罪悪感に焼き付くされそうだ。

一刻も早く一つになりたい自身を押さえて、ゆっくり丁寧に愛撫していく。

『やっ…んんっ……』

『さくら』

準備が充分できたとわかると名前を呼んで
身体をおこした。
腕を引っ張り彼女も起こすと自身を
跨がせた。

『自分で入れて』

『え……むりよ…』

顔を真っ赤にして首を横に振る。

『もう欲しいだろ?』

『………いじわる』

瞳を潤ませて迷う仕草に俺の方が限界に
なりそうだ。

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