桜が求めた愛の行方
勇斗は再び愛し合おうと、
押し倒そうとしたら逆に押し返された。

『ダメっ動かないで……
 まだ聞きたい事があるの………』

さくらがまた暗い顔に逆戻りするから
不安になる。

『どした?俺はまだ泣かせるような事を
 しているのか?』

うつむくさくらの髪を優しくなでた。

『私……あの日……見たの』

『何を?』

『ザ・トキオのテラスであなたと女の人……』

『なにっ!』

いったいどこにいた?
美那と会ったのはマンションだけ
じゃないのか?

『聞くつもりはなかったの……でも私は
 やっぱり、とりあえず、だったのかなって
 思ったら怖くなって…それで立ち聞きして
 その時たまたまニールが……』

『とりあえず!』

神様でも仏様でも誰でもいいから、
いい加減、過去の俺の失言を責めるのは
もう許してくれよ……

金輪際、俺の辞書から、とりあえず
って言葉は消し去ってやる!

まさか、これって要人さんが娘を泣かせた
嫌がらせにしてるわけじゃねぇよな?
勇斗は、天を仰いで睨んだ。
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