桜が求めた愛の行方
『彼女とやり直したい?』

『そんな訳ないだろ!!』

首から無理やり腕を引き剥がして
額をコツンとくっつける。

『さくら』

『だって…』

『不安にさせて悪かった』

両手で顔を挟んで、瞳を合わさせる。

『あいつとは、もうとっくに終わってる』

『ほんとうに?』

『俺の気持ちはちゃんと言葉にして
 伝えているだろ?それに、ほら見ろよ』

勇斗は左手のリングをさくらのそれに並べる。
まだ新しいお揃いのプラチナリングが
暗闇で光った。

『俺はこれを外すつもりはないぞ』

見上げてきた大きな瞳からこぼれる涙を
唇で拭った。

『綺麗な人だった……』

『おまえのが綺麗だ』

『そんなことないっ!
 彼女のこと愛してたんでしょ?』

まいったな…しっかり全部聞いていたのか。

『それはもう過去だ。信じて、さくら。
 今の俺にはおまえだけだから……
 って、おいっ?!』
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