桜が求めた愛の行方
さくらが知る限り、勇斗は初等科の頃から
常に3人の仲間と一緒にいた。

彼等は特別目立とうとしていなくても、
その容姿だけでかなり人目を惹いていた。

中でもさくらも幼い頃から知っている
岬さんは、日本人離れした顔立ちに、
物憂げな瞳で女の子達をうっとりさせていた。
勇斗が動なら零士さんは静。

残りの二人も同じ様に分けるなら、
鋭い瞳に一匹狼のようなワイルドな
加嶋さんは動で、穏やかな瞳でそばにいたらホッとさせてくれる優しい結城さんは
間違いなく静だと思う。

さくらの学校では、プリンス四天王として
有名な存在だった。

『蒼真さん?!結城さんのことよね?』

『なんだ?その反応は!?』

ジロリと睨まれてちょっと焦る。
私も優しい蒼真王子には、それなりの憧れを
持ったなあって、懐かしくなっただけ
なんだけど……
奥様の夏音さんは、高校の先輩で
結婚後、親しくしてもらっているし
勇斗が思うようなことはないんだけど。

『え?なにって……その……
 昔、蒼真さんは素敵だったなあって』

『あいつには、今後一切会わせない!』

『えー』

『えーとかムカつく!!さっきまで
 俺の前であんなに淫れてたくせに』

『淫れてなんか……』

信じられないけど、愛してると言われたら
こんな些細な事で嫉妬してもらえる事に
幸せを感じてしまう。

『何をにやにや笑ってるんだよ!』

『だって、幸せだなって』

伸び上がってチュッとキスをした。

< 129 / 249 >

この作品をシェア

pagetop