桜が求めた愛の行方
リムジンは横浜のベイサイドホテルへ
向かっている。
普段なら今後のスケージュールや計画の
進行状況、企画書の説明をする男がなぜか
今日はいない。
勇斗は、にこやかに予定を告げる
目の前の男にもう一度聞いた。
『真島だったな?』
『はい!』
渋い顔をする勇斗に臆することなく、
真島は元気に返事をした。
『昨日、田所が突然言ったんだな?』
『はい、昨日の帰り際に呼び出されまして』
-昨日の夕方
『室長、お呼びでしょうか?』
『帰るところ、悪いな』
『いえ、とんでもありません』
田所は今年入社した新人の中で
特に真島を気に入り、現場を希望していた
彼を無理やり秘書課に引っ張った。
真島の人当たりの良さや、
いい意味で天然な所はこの先、勇斗様に
必要になるだろう。
もちろん、性格だけではない。
いちホテルマンとして現場に
置いておくには勿体無い頭脳だ。
『どうだ、仕事には慣れたか?』
『はい、業務には問題はありません……』
『ありません?が?』
『えっと、先輩たちの優しさというか、
好意というか……』
なるほど。
要人社長が亡くなってから、副社長が秘書は
全員女性にしてしまった。
今年から、少しずつバランスを
取り戻そうとしているが
まだまだ女性の比率が高い。
真島のルックスからいっても、
つい構われてしまうのだろう。
『かわいがられているうちが華だ』
『はあ……ところでご用件は?』
『ああ、そうだった。急で悪いが、
私は明日休むことにする
だから、明日は勇斗様の事を
おまえに頼みたい』
『ええー!!』
驚き慌てる真島を、何の問題もないと
さらりとかわし、田所はスケジュールを
細かく説明したメモを渡した。
『えっ?!これはどういうことですか?!』
真島が驚くのも無理は無い。
勇斗が何故このメーカーのモデルに
ならねばならないか田所だって疑問だ。
だが、担当者の鈴木は突然電話してきたかと
思えば、専務は素人で主催者だという意見
など、はなから耳を貸さず
終いには聞き入れなれないのなら今からでも
この企画を下りると言ってきた。
国内でもトップのドレスメーカーに
下りられたら、比較的安価で多くの種類の
ドレス提供ができなくなってしまう。
それでは、ベイサイドの生き残る道が
絶たれてしまうだろう。
田所は仕方なく、了承をしたのだ。
勇斗にかけず、自分に言ってくる辺りも
いやらしい。
勇斗ならば、利益に関係なく断るだろう
別のメーカーを探せばいいと。
無理だ、時間がない。
『いいか、余計な事は一切言うな。
だが、聞かれたことでおまえが知っている
事は、なんでも話してくれてかまわない』
『はい、わかりました!』
田所は一通り説明を終えてから、
最後に念を押した。
向かっている。
普段なら今後のスケージュールや計画の
進行状況、企画書の説明をする男がなぜか
今日はいない。
勇斗は、にこやかに予定を告げる
目の前の男にもう一度聞いた。
『真島だったな?』
『はい!』
渋い顔をする勇斗に臆することなく、
真島は元気に返事をした。
『昨日、田所が突然言ったんだな?』
『はい、昨日の帰り際に呼び出されまして』
-昨日の夕方
『室長、お呼びでしょうか?』
『帰るところ、悪いな』
『いえ、とんでもありません』
田所は今年入社した新人の中で
特に真島を気に入り、現場を希望していた
彼を無理やり秘書課に引っ張った。
真島の人当たりの良さや、
いい意味で天然な所はこの先、勇斗様に
必要になるだろう。
もちろん、性格だけではない。
いちホテルマンとして現場に
置いておくには勿体無い頭脳だ。
『どうだ、仕事には慣れたか?』
『はい、業務には問題はありません……』
『ありません?が?』
『えっと、先輩たちの優しさというか、
好意というか……』
なるほど。
要人社長が亡くなってから、副社長が秘書は
全員女性にしてしまった。
今年から、少しずつバランスを
取り戻そうとしているが
まだまだ女性の比率が高い。
真島のルックスからいっても、
つい構われてしまうのだろう。
『かわいがられているうちが華だ』
『はあ……ところでご用件は?』
『ああ、そうだった。急で悪いが、
私は明日休むことにする
だから、明日は勇斗様の事を
おまえに頼みたい』
『ええー!!』
驚き慌てる真島を、何の問題もないと
さらりとかわし、田所はスケジュールを
細かく説明したメモを渡した。
『えっ?!これはどういうことですか?!』
真島が驚くのも無理は無い。
勇斗が何故このメーカーのモデルに
ならねばならないか田所だって疑問だ。
だが、担当者の鈴木は突然電話してきたかと
思えば、専務は素人で主催者だという意見
など、はなから耳を貸さず
終いには聞き入れなれないのなら今からでも
この企画を下りると言ってきた。
国内でもトップのドレスメーカーに
下りられたら、比較的安価で多くの種類の
ドレス提供ができなくなってしまう。
それでは、ベイサイドの生き残る道が
絶たれてしまうだろう。
田所は仕方なく、了承をしたのだ。
勇斗にかけず、自分に言ってくる辺りも
いやらしい。
勇斗ならば、利益に関係なく断るだろう
別のメーカーを探せばいいと。
無理だ、時間がない。
『いいか、余計な事は一切言うな。
だが、聞かれたことでおまえが知っている
事は、なんでも話してくれてかまわない』
『はい、わかりました!』
田所は一通り説明を終えてから、
最後に念を押した。