桜が求めた愛の行方
『私は夫を信じています』

夫という言葉を聞いて
美那の目付きが明らかに変わった。

『おめでたい人ね、男なんてみんな浮気を
 する生き物なのよ。彼は元々私のもの
 だった、寂しさや同情からあなたに気を
 かけたけれど、冷静になれば自分が本来
 誰を愛していたか、気づくはず。いい?
 割り込んできたのは、あなたよ方なのよ』

『割り込んだ……』

悪夢の食事会、とりあえずの結婚を思い出し
さくらは思わず胸を押さえた。
確かに結婚を考えていた二人の間に
割り込んでしまったのは私……

両手をぎゅっと握りあわせてハッとした。

『違う……違うわ!!』

誓うようにこの指にキスをくれたあの日、
不安になる私に、《覚えておけよ!》
と彼が照れながら言ってくれた言葉。

『何が違うのよ?』

『あなたなんかよりずっと前から、
 私たちはお互いを思っていた……
 割り込んできたのはあなたの方だわ!』

『何ですって!!』

美那は怒りの形相で手を振り上げた。

叩かれる!!
さくらは瞳を瞑って身構えた。
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