桜が求めた愛の行方

『でも!それでは担当者さんにご迷惑が?』

『ベイビー君は優しすぎるよ』

ニールがよしよしと頭を撫でる。
勇斗はその手を払って、安心させるような
笑みを見せる。

『さくらが心配することはない』

『でもっ…』

『あの……奥さま、専務のいう通りです!
 それに、この企画は必ず成功するので
 大丈夫ですよ!
 一年後には、ベイサイドはブライダルの
 予約が殺到していますから、
 だから、迷惑なんてありえません!』

『真島……』

『うわっ眩しい!』

ニールは真島に手をかざして目を細めた。

『じゃあ、美那さんがもし断っても
 勇斗がモデルをやれば問題はないのね?』

『いいのか?』

『お仕事だもの、平気よ』

大きな瞳は嘘だと言っている。
美那が断らないことを考えているのだろう
勇斗の胸に、新たな愛しさが溢れた。

『ありがとう』

『そうそうお仕事だよねー
 でもベイビー、僕たちは楽しもう!』

ニールの口調は明らかに勇斗を
からかっている。

『なにぃ?』

『あれー?さくらから聞いてない?
 僕たちがモデルなの』

『京子先輩の言っていた
 さくらの相手って、おまえか!』

くそっ!さくらが仕事だと我慢するのに
俺が駄目だとは言えないじゃないか!

『ゆうと?』

『何でもない』

さくらの後ろに回ったニールが
ざまあみろという顔をした。

『このっ!!』

勇斗が拳を振り上げた。
振り返って、二人を交互に見たさくらが
不思議そうに聞いた。

『二人はいつの間に
 そんなに仲良くなったの?』

『『 仲良くない!!』』

これこそ、ドラマ……いやマンガのような
展開だと真島が一人が心の中で笑っていた。


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