桜が求めた愛の行方
9.話し合い
昼過ぎに軽井沢を出た勇斗がオフィスに
到着したのは、夕方近くになってしまった。
ロビーのエレベーター前では、真島が焦れた
顔で、勇斗の帰りを待っていた。
『山嵜様は20分前からお待ちです』
勇斗を見つけて走って出迎えた真島は
心の中で苦笑いした。
緊急事態だというのに、専務は少しも焦っておらず、堂々として頼もしく見える。
『すまない!東京駅からここまでが
渋滞で。それで?状況は?』
『何も変わりません。メールでお伝え
した通り、謝罪の言葉以外は何も……』
二人はエレベーターに乗り込んだ。