桜が求めた愛の行方
14.それぞれの決意
沢木がそれを知ったのは、雑誌の記者の
インタビューを受けている時だった。
秘書が受けた依頼は、
次世代を担う新しいリーダー
そんなテーマの経済紙のインタビュー。
正に自分に相応しいテーマだ。
だが……
話始めた記者が、ベイサイドの成功の
秘訣を質問しだした辺りから、釈然としない
何かを感じ始めた。
確かに、あのイベント以降ベイサイドの
ブライダルはその手の雑誌にもう何度も
取り上げられ、12月のリニューアルオープンを待たずして、予約が殺到していると聞く。
ふん、まぐれだ。
たまたま、本当にたまたま
リニューアル第一号のカップルが、
今話題のモデルになるからに過ぎない。
それとて、相手の老舗和菓子屋の御曹司が
あの若造の友人だったからだ。
もちろん、そんな事はおくびにも出さず
すべて自分の手柄のように、記者に話して
聞かせてやった。
『ところで、軽井沢のホテルですが』
『ああ、あれは多分売却する』
『またまた~沢木副社長!
ここまできてそれはなしですよ。
実は今日はこれが一番聞きたかったこと
なんですから!』
『何をおっしゃっているのやら?』
『専務さんのガードが硬いから、
こうして副社長さんをお呼びしたのに』
『何だと?』
『まあまあ、気を悪くさせてしまったなら
謝ります。申し訳ありません。
ですが、調べさせてもらった所、
あなたとシェフが密談をされたとの
情報を得ているんですよ!』
『シェフ?』
『ヒロノブ・ヤマザキは今や国外でも
有名なシェフの一人ですからね。
その彼の店を望むホテルや施設が
どれだけよい条件を出そうとも、
イエスと言わせなかったのを、失礼承知で
言わせてもらえば、すでに魅力を失った
あのホテルにどうやって口説き落としたの
ですか?』
『その話はすでにたち消えに……』
『沢木さん、この通り!お願いします!』
記者は椅子に座ったまま、テーブルに
手をついて頭を下げた。
『何を……』
『目玉な事はわかっています。
オープン前日、いえ!初日まで記事に
しないと約束します!ですから、
山嵜シェフが新に挑戦する料理の趣向だけ でも教えていただけませんか?』
『新な挑戦……』
『銀座の店の名前すら使わないそうじゃ
ないですか?!』
インタビューを受けている時だった。
秘書が受けた依頼は、
次世代を担う新しいリーダー
そんなテーマの経済紙のインタビュー。
正に自分に相応しいテーマだ。
だが……
話始めた記者が、ベイサイドの成功の
秘訣を質問しだした辺りから、釈然としない
何かを感じ始めた。
確かに、あのイベント以降ベイサイドの
ブライダルはその手の雑誌にもう何度も
取り上げられ、12月のリニューアルオープンを待たずして、予約が殺到していると聞く。
ふん、まぐれだ。
たまたま、本当にたまたま
リニューアル第一号のカップルが、
今話題のモデルになるからに過ぎない。
それとて、相手の老舗和菓子屋の御曹司が
あの若造の友人だったからだ。
もちろん、そんな事はおくびにも出さず
すべて自分の手柄のように、記者に話して
聞かせてやった。
『ところで、軽井沢のホテルですが』
『ああ、あれは多分売却する』
『またまた~沢木副社長!
ここまできてそれはなしですよ。
実は今日はこれが一番聞きたかったこと
なんですから!』
『何をおっしゃっているのやら?』
『専務さんのガードが硬いから、
こうして副社長さんをお呼びしたのに』
『何だと?』
『まあまあ、気を悪くさせてしまったなら
謝ります。申し訳ありません。
ですが、調べさせてもらった所、
あなたとシェフが密談をされたとの
情報を得ているんですよ!』
『シェフ?』
『ヒロノブ・ヤマザキは今や国外でも
有名なシェフの一人ですからね。
その彼の店を望むホテルや施設が
どれだけよい条件を出そうとも、
イエスと言わせなかったのを、失礼承知で
言わせてもらえば、すでに魅力を失った
あのホテルにどうやって口説き落としたの
ですか?』
『その話はすでにたち消えに……』
『沢木さん、この通り!お願いします!』
記者は椅子に座ったまま、テーブルに
手をついて頭を下げた。
『何を……』
『目玉な事はわかっています。
オープン前日、いえ!初日まで記事に
しないと約束します!ですから、
山嵜シェフが新に挑戦する料理の趣向だけ でも教えていただけませんか?』
『新な挑戦……』
『銀座の店の名前すら使わないそうじゃ
ないですか?!』