桜が求めた愛の行方
勇斗が目を開けて話しを再開しても
二人の手は重ねられたままだった。

『調べてわかったんだが、
 あの時藤木グループは内紛が起きようと
 していたらしい』

さくらは、わかっていると頷いた。

まさかお祖父様とパパが対立していたなんて
思いもしなかった。
藤木グループをここまで大きくした
お祖父様がワンマンなのは、
多少は仕方がないかもしれない。
でもお祖父様のやり方では
将来がないと思ったパパが改革しようと
した事は間違っていなかった。

その事はパパの元秘書で、今は勇斗の秘書である田所さんに聞いて知っている。

勇斗は知らないけれど、彼が藤木を辞めて
あなたの所に行ったのにはちゃんとした理由があったのよ。

田所さんはわざわざパリの私の所に来て色々な事を教えてくれた。
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