桜が求めた愛の行方

会社を一目散に駆け出すと、勇斗は自宅に
向かった。

エレベーターを降りると、
大して走った訳でもないのに、
肺が焼き付くように痛く、鼓動が尋常でない
速さで胸を打っている。

ドアノブを掴んだ瞬間、
二度と思い出したくない恐怖がよみがえり、
込み上げてきた吐き気と戦った。

大丈夫だ。
あの時だって、彼女はここに居てくれた。


勇気を出して、扉を開けた。



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