桜が求めた愛の行方
17.家族
真斗は見るも無残に、力なく家に入ってくる
兄の姿を、自室の窓から見ていた。
勇斗は行動を起こすのが遅すぎた事を
これほど悔いたことはない
さくらは居なかった……
彼女の荷物諸ともきれいさっぱり消えていた
もうどこに答えがあるのか、さくらを
どうしたら取り戻せるのかわからない。
せめて今はこの瞳で真実を知るべきだろう
ただいまも言わず、真っ直ぐ母の
クローゼットへ入った。
大事なものはそこに入れているはずだ
幼い自分が、母の日に手作りした不恰好な
宝石箱はやはりそこにあった。
ふたを開けると確かにそれはあった。
『やっぱり……』
それ…母子健康手帳を開いた。
どうしてこんな事になったんだ?
母さんに真実を聞かなければ……
その上でさくらを……
ちくしょう!
さくらはどこへ行ったんだ?