桜が求めた愛の行方
なるほど、
さくらの言ってた事がよくわかった。
次から次へと列をなすように続く挨拶の応酬。
これは堪らない、楽しむどころじゃない。
『こんな所は一刻も早く出よう』
『どうやって?』
『なに、簡単なことさ』
腰に回した手を強く引き寄せて
熱くさくらを見つめた。
『え……あの……』
案の定、顔を赤くして戸惑いの表情で
俺を見ている。
結い上げられた髪からこぼれている後れ毛を
指に絡ませて、ゆっくり顔を近づける。
『ねえ!ちょ、ちょっと……』
困った顔がたまらなく可愛くて、
演技のつもりが本気で唇を奪いたくなった。
なぜそうしない?
心の悪魔が囁く。
『いいですなぁ若い二人は!』
からかいを含んだしわがれた声に、
我に返った。
さくらが慌てて離れる。
『お見苦しい所を……失礼致しました
5年も待たされた身としましては
中々我慢が効かなくて』
『よいよい、それこそ若さ故、
こんな無粋なパーティはさっさと
抜け出すがいいぞ!!』
『そんなことは……』
真っ赤になって否定するさくらは、
腕の中に閉じこめる事で黙らせる。
『さくら、
年長者の助言はありがたく聞くべきだ』
『そのとおりじゃ!』
『では、お言葉に甘えて失礼いたします。
新刊の成功を祈っております、会長』
腕の中でさくらがびくっとした。
『おお、藤木会長によろしくな』
『はい』
勇斗は会釈するとさっさと会場を後にした。
さくらの言ってた事がよくわかった。
次から次へと列をなすように続く挨拶の応酬。
これは堪らない、楽しむどころじゃない。
『こんな所は一刻も早く出よう』
『どうやって?』
『なに、簡単なことさ』
腰に回した手を強く引き寄せて
熱くさくらを見つめた。
『え……あの……』
案の定、顔を赤くして戸惑いの表情で
俺を見ている。
結い上げられた髪からこぼれている後れ毛を
指に絡ませて、ゆっくり顔を近づける。
『ねえ!ちょ、ちょっと……』
困った顔がたまらなく可愛くて、
演技のつもりが本気で唇を奪いたくなった。
なぜそうしない?
心の悪魔が囁く。
『いいですなぁ若い二人は!』
からかいを含んだしわがれた声に、
我に返った。
さくらが慌てて離れる。
『お見苦しい所を……失礼致しました
5年も待たされた身としましては
中々我慢が効かなくて』
『よいよい、それこそ若さ故、
こんな無粋なパーティはさっさと
抜け出すがいいぞ!!』
『そんなことは……』
真っ赤になって否定するさくらは、
腕の中に閉じこめる事で黙らせる。
『さくら、
年長者の助言はありがたく聞くべきだ』
『そのとおりじゃ!』
『では、お言葉に甘えて失礼いたします。
新刊の成功を祈っております、会長』
腕の中でさくらがびくっとした。
『おお、藤木会長によろしくな』
『はい』
勇斗は会釈するとさっさと会場を後にした。