桜が求めた愛の行方

さくらの選んだ指輪を見て勇斗は苦笑いした。

思っていた額の半分にも満たない。
これまで金額を気にしてプレゼントを
選んだ事はなかったが、
それでももう少し高くていいはずだ。

欲がないのか、
それとも離婚するとわかっているからか。

後者だと思うとまた怒りがこみ上げてきた。

いい加減、自分の気持ちを認めるべきだろう。

自嘲して深いため息を吐く。

『本当にそれでいいのか?』

『ええ』

愛らしい大きな瞳が嬉しそうにしている。

そんな顔をされたら、
二人きりだったら抱きしめてしまうだろう。

さくらの瞳は雄弁だ。

心を閉ざされても、
瞳を覗けばそこに真実がある。

この3カ月、何度も嬉しさに輝くのを見て
自分も嬉しくなり、悪戯に煌めくのを見て
ドキッとし、言葉に見えない哀しみを見せると何とか取り去ってやりたいと思った。

恋愛における駆け引きや探りあいも
悪くはないが、さくらといるとそんな時間は
無駄だと思える。
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