桜が求めた愛の行方
『んんっ……ダメなの…お願い……』

必死で胸を押されて、仕方なく離した。

『どうして?』

『今日はもうここを出ないと。
 新居に移るのよ、午前中には行きますって 管理人さんに言ってしまったの』

『新居?!』

『そう。あなたが勝手にして良いって
 言うから私……』

『俺たち藤木の家に住むんじゃないのか?』

『それは……その方が良かった?』

『いいや!そうか新居か!』

邪魔のいない二人だけの家

初夜をやり直すにはもってこいじゃないか!

考えたら頬が自然と緩んだ

『それで……あのねっ』

何か言おうとするさくらを無視して
勇斗はガバッと起き上がる。

『わかった!シャワーして直ぐに
 支度するから待ってろ』

『違うの、待って!ゆうと!!』

バスルームに向かっていた足が
びくっと立ち止まる。

振り返り三歩で戻って、激しく唇を奪った。

『ヤバい……名前よばれるとクる』

『ばっ馬鹿!』

『続きは新居で、な?』

優しく唇を重ねると今度こそバスルームに行った。

『ヤバいのは私かも……』

さくらがつぶやいて、
ドキドキする胸を押さえていたのは
知らない。
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