桜が求めた愛の行方
スイート出て駐車場へ行くと、
当然のように愛車の運転席のドアを開けた
さくらを見て勇斗は笑い転げた。

忘れていたが、あれから車のキーは彼女が持ったままだった。

『行き先を知らない人が運転するのは
 おかしいでしょ?』

そうとうこの車が気に入ったようだ。

『ナビがあるだろ?』

特に運転したい訳ではないが、
さくらが可愛いからつい意地悪を
言いたくなってしまう。

『でも私が知ってるもの』

『でもこれは俺の車だもの』

さくらの口調を真似て言うと、
拗ねて唇を尖らせた彼女が言う。

『結婚したから私のものでもあるでしょ?』

やられたな。
尖った可愛い唇にちゅっとキスをした。

『なっ』

『俺の負け、運転して』

『もぉ、早く乗って!』

さくらは赤くなる頬を押さえて
車に乗り込んだ。
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