桜が求めた愛の行方
『話があるなら、早く言え』

『えっと……私達がこうなったのって
 つい先日……じゃない……』

この体勢だと、どうしても彼の顔を
見なくてはいけなくて、
言いながら恥ずかしくて顔が
赤くなっていくのが自分でわかる。

『どうなったの?』

彼は額にキスしてからかうように笑った。

『もぉ、わざと意地悪言わないで!
 そういうところ昔と変わらないんだから』

『昔から?そうか?』

言いながら腕を優しく上下に擦られて、
さっきのキスで敏感になった身体が粟立つ。

『いっいいわ、もう別に……』

『要点だけ言えって』

『だから、ベッドルームは二つあるの』

『はあ?』

『っというか、あなたの部屋と私の部屋。
 因みに右側があなたで、左側が私』

彼の顔がみるみる不機嫌になっていく。

『どういう事だ?!』

『こんな風になるって思わなかったから、
 ここに決めてから少しリフォームを
 お願したのよ。
 ゲストルームの一つを私の部屋用に』

『別々に暮らすつもりだったのか?』

『そうよ、当たり前でしょ!』

『当たり前だと?!』

『だって、とりあえず、ってあなたが
 言ったから……』

くそっ!またかよ!
勇斗は舌打ちして、心の中で自分を罵った。

またしてもその言葉に苦しめられるとは!

過去の自分を殴るだけじゃすまされないな

『わかった』

勇斗はドサッとソファーに仰け反ると
脱力してしまった。
< 70 / 249 >

この作品をシェア

pagetop