桜が求めた愛の行方
『あのね……』
まーくんには話していなかった
悪夢の食事会でのやり取り
パリから戻っても結局はどうなったか
聞いていないこと
そして昨夜、彼女が現れたことを話した。
『驚いた……さくねえがパリに行ったのは
おばさんの再婚から逃げる為だけじゃ
なかったんだ』
『ええ』
『っていうか!何だよ兄さん!!
全部さくねえに押し付けて!』
『そうじゃないのよ、
私が勝手にした事なのよ』
『それは都合のいい言い訳にしか聞こえ
ないね!』
『ありがとう、まーくんがいつもそうやって 私の味方をしてくれるから、
頑張ってこられたよ』
『ずるいな……そうやって僕をなだめて
兄さんを庇うんだから』
『そうじゃないわよ』
『いいよ別に!さくねえが兄さんを
好きだったことは僕が一番知ってる』
『だからそれは……』
『それより、その彼女のことだろ?』
そう言うと、真斗は立ち上がってその場を行ったり来たりして考え出した。
『あっ、うん』
『それにしても、今さらおかしくない?
それにちょっと変だよ?!』
『なにが?』
『2人はテレビに出るほどじゃないけど、
ちょっと調べれば最近結婚したことが
わかる位には有名人だよ。
ググってごらんよ、2人の結婚の情報が
出てくるよ。
それに兄さんの事を探してきたなら、
佐伯の会社に来ればわかるだろ?
そしたら結婚だって知れるはずだ』
『そっそうね……でも彼女モデルさんの
ようだった、最近まで海外にいたとか?』
『うーん……なんか違う気がする』
真斗は口に出さないが嫌な予感がしていた。