桜が求めた愛の行方
『ベイビーどうしたんだい?』
チェックインを済ませたニールが
話に割り込んできた。
『さっ、さくらちゃん!こちらは?』
突然現れたとびきりのいい男に、
京子さんは目が点になっている。
『友人の溝口くんです。
ニール、こちらは私のウェディングドレス でお世話になった京子さん』
『どうも、はじめまして溝口響です。
友人からは、ミドルネームのニールで
呼ばれてます』
『は、はじめまして…緑川京子です。
あの……初対面で失礼ですが、
事務所はどちらですか?』
『は?事務所ですか??
M&P法律事務所ですが何かお困りで?』
『え?法律事務所?!』
『京子さん……
ニールはモデルじゃありませんよ』
『うそっ!!ごめんなさい!!
えーそれにしても……まったく美人さんの 側には必然といい男がいるものね……』
『京子さんたら何を言ってるんですか!』
『ねえ、それで?どうしたの?』
『ああ、あのね……』
さくらは、ニールにかいつまんでドレス選びの時からこれまでの話をした。
『それでね、京子さんは私とまーくんに
ショーも出て欲しいって言うんだけど、
まーくんはニールも知っての通りだし
今は大学も忙しいみたいなの。
私だって素人だからってお断りしてるの
だけど……』
『ふうーん、なるほどね』
さっきからニールをみる京子さんの顔に
嫌な予感がする。
『あの……会ったばかりで図々しいのは
承知で言わせてもらうわね!
お二人では、どうかしら?』
ほらね、やっぱり!!
『京子さん、ニールは……』
『だって、さくらちゃんはうちの看板よ
それを言っても真斗君は、
《じゃあ兄さんに頼めば?》
の一点張りだし……勇斗君は主催者側の
人間だから無理だって言うし……』
『あの……京子さん?それを言うなら
私も主催者側なんですけど?』
『あら、さくらちゃんは平気よ、
むしろホテルのいい宣伝でしょ?』
『そういうものでしょうか……』
『だからニールさん、どうかしら?』
『え?だって京子さん私とまーくんの
雰囲気がって……』
『真斗君がダメなんだから、仕方がない
わよ。ニールさんとさくらちゃん……』
京子さんは少し離れてカメラマンのように
手で枠を作って私達を見る。