桜が求めた愛の行方
変わらない………
いや、三年前より妖艶になっている
かつて愛しげに抱いた身体を思いだし
嫌悪感に顔をしかめる。
『待って!お願い!話がしたいの』
『俺にはない』
『ごめんなさい!!私が間違っていたわ、
あの時は自分の事しか見えていなかった あなたを傷つけてしまって本当に
申し訳なかったと反省しているわ』
涙を浮かべてすがりつくように腕を
とられて、仕方なく椅子に座わり直した。
『何を言われようと、今さら遅い』
『わかってる……でも、私どうしても
あなたの事が忘れられないの……
あの時は自分の夢を追うことで精一杯で
だから、逃げるようにフランスへ行った
けれど……』
『おまえ、何を調子の良いこと
言ってるんだ!!おまえは俺のステイタス が変わるとわかって俺を捨てたんだ』
『違うわ!!』
『いや違わないね、そうじゃないと
言うならなぜ俺を待たずに男と?』
『やっぱり……
勇斗、あなた誤解しているわ』
『何を!どう誤解してると言うんだ?』
三年前、会社が安定してきた頃に俺は
佐伯の家を出て一緒になろうと美那に言った
だが、美那は俺を捨てて
どこかの成金男とフランスへ行った。
それを人づてに聞かされた時の
胸の痛みが蘇る。