花嫁に読むラブレター

「ごめん、でも明日みんなで食べればいいと思うよ」

「それじゃあ駄目なのよ。お父様は明日にはまたお城務めでしょう? また暫く帰ってこられないもの」

「あ、あの……ごめんなさい。わたしが忘れ物をしちゃって、遅くなってしまったんです」

 マイアが頭を下げると、柔らかな声が慌てて言う。

「まあまあ、大丈夫よ。お父様には明日の朝食にでもしちゃいましょう。だから気にしないでちょうだい。――それよりも」

 ユンの母は、改めてマイアの真正面に立ち、鼻と鼻の先が触れそうなほどぐいっと顔を近づけた。大きな瞳はユンと同じ澄んだ青。目じりに皺を寄せながら、飾り気のない笑顔で言う。

「よく来てくれたわね、マイアちゃん。今日は一段と可愛らしいわ、そのお洋服手作りかしら?」

「あ、あの、わたしのこと……」

「もちろん知ってるわよ。ミリアちゃんのところでいつもお買いものしていたでしょう?」
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