花嫁に読むラブレター
「マイアちゃんは、みるみるうちに綺麗になっていくわね」
鏡台の前に腰掛けているマイアの髪を、豚毛のブラシで丁寧に梳いているフィーネが囁くように言った。鏡に映るフィーネの目に、娘の成長を喜んでいる母のような温かさが浮かんでいる。
髪を梳くとき、耳に触れるフィーネの指が温かい。
鏡の中のフィーネと目が合い、気恥ずかしさからマイアの視線が俯く。
そんなマイアの様子を見ながら、フィーネはときおり小さく笑い声をあげ、ユンに似た顔に笑みを覗かせた。
「……そんなことないわ」
「あら。自覚がないのかしら。――たまに、私でもどきっとするような表情をしているわよ」
「どんな? わたし、そんなに険しい顔しているかしら……」
眉根を寄せたマイアの、今の表情こそ険しいものだろうと思わずにはいられないフィーネは、動かしていた手を止め笑い出した。