花嫁に読むラブレター
「違う違う。なんでそんなに悪いほうへ考えちゃうのかしらねえ。そうじゃなくってね、とても人目を惹きつける表情よ。人生で、いろいろなことを経験してきた人間がよく見せる表情とでもいうのかしら」
「フィーネさんは、そういう方をたくさん見てきたの?」
「ええ、見てきたわ。そういう方たちはね、男も女もみんな強くて美しいわ」
マイアは上げていた視線を落とし、首を横に振る。
「じゃあ、わたしは違うわ……。だって、わたし、周りに甘えてばかりだもの」
フィーネは、ふふ、と笑い再び手を動かし始めた。
「甘えがない人間なんて、私はいないと思うわ」
口を開きかけ、マイアはそのまま押し黙った。
それでも、自分は他人より甘えていると伝えたところで、きっとフィーネならば、そんなことはないわ、と優しく否定してくれるだろう。わかっていたからこそ、言えなかった。自ら慰めを貰いに行く姿も惨めだし、何よりフィーネに知られるのは恥ずかしい。全くの他人に下着姿を見られるほうが、まだ耐えられる。