花嫁に読むラブレター
ぬくもりが体に沁み渡ってくると、昨晩なかなか寝つけなかったマイアに再び眠気が襲った。そのまま瞼を落とし、意識を手放しそうになった瞬間、二度目のノックが聞こえた。
今度は、少し荒々しい音だった。
マイアが苛立たしげに眉を歪ませ、仕方なく目を開けて体を起こすよりも先に、扉が勢いよく開いた。室内の人間を気遣う様子の全く見られない、無神経な音がマイアをさらに不快にさせた。
「……悪いんだけど、もう少しだけ眠らせてもらえないかし――」
マイアが目をこすりながら身を起こし、気怠そうに言葉を終わらせるのを待たずしてレナータがその細い指をマイアの首に這わせた。マイアの喉から細い息が漏れる。
言葉を失ったマイアに、レナータが静かに囁いた。
「マイアさん、あなたいい加減にしなさい」
疲れた足をひきずるように階段を上がり、ようやくのぼりきったところで、ユンは深い息を吐いた。