花嫁に読むラブレター
「ねえ、信じられる? 今日もやっぱり同じ日なのよ。ただの家族が、ここまで律儀に日にちを守って手紙を出すなんてするわけないじゃない!」
マイアの首を離し、乱暴に体を突き倒した。勢いよくベッドの上で倒れ込むマイアの隣に、レナータは懐に仕舞い込んでいた皺だらけの手紙を投げ捨てる。すでに封が開けられている手紙がマイアの傍らに落ちてくる寸前、レナータは手紙と同時に懐から出した果物ナイフを勢いよく振り上げ手紙に突き刺した。
レナータは、マイアのほうを一瞥もくれず手にしているナイフに力を込め、シーツごと手紙を引き裂いた。勢いにのって、シーツの中から羽が舞い、マイアの隣に落ちてきた。
シーツを引き裂く音が、やけに大きく耳に残る。
「……やめて」
震える唇から、小さく声が漏れた。
恐怖で、心臓が大きく飛び跳ねるように動いている。
異常なほどに興奮しきったレナータを止められる言葉など、マイアには何も持っていない。けれど、今の光景を見つづけることのほうが、とてつもなく恐ろしかった。