花嫁に読むラブレター
マイア自身が頼んで手紙を送ってもらっているわけでもなければ、それらを拒絶する方法もない。だが、それを言ったところで、レナータが納得するとも思えなかった。それどころか、正論を衝かれた彼女が逆上する様子が手に取るようにわかってしまう。火に油を注ぐようなものだ。
きっと、レナータが求めているのは、マイアがステイルを想っていないという、確固たる言葉なのだろう。
けれど、彼女を納得させられる言葉が見つからない。それどころか、レナータが何気なく言った言葉が気になって、マイアは腕にしがみつきながら顔を上げることすらできなかった。
レナータは、ステイルからの手紙の何を読んで、『彼のほうはあなたのことを好いている』と言ってきたのだろう。
期待する気持ちはこれっぽっちもない。今まで期待しては、散々に裏切られてきた。――いや、裏切られるなんて言葉は、あまりに過信しすぎているのだ。勝手にステイルの気持ちを位置づけて、マイアの気持ちに添えないとわかると、勝手に裏切られたような気になった。ステイルが傭兵団に入ったと、直接聞かされなかったことを知ったとき強く悟った。
あのときは、ただ家族としても認めてもらえていないのかと落ち込んだが、今ならそうではないのだとわかる。