花嫁に読むラブレター
お互い、どれくらいの時間を無言で過ごしていたのかわからない。
だが、次第にマイアは安らぎを取り戻していくのを感じた。あれほどまでに悔しく、そして嫌がらせを受けていた事実を知られた恥ずかしさすら、今はそれほど感じなくなってきていた。涙もいつのまにか止まり、頬に残ったあとが、瞬きを繰り返すたびに引き攣るような不自然さを残していた。
マイアが涙のあとを手で乱暴に拭うと、ユンは腰を折り、視線をマイアと同じ高さにして静かに口を開いた。
「ごめん。助けることができなかった」
ゆっくりと延びてきたユンの指が、不揃いに切り刻まれたマイアの髪に触れる。うなじにユンの熱を感じ、マイアは恐る恐る顔をあげると、涙に濡れた目で自分を見つめるユンがいた。
目にたまっていた涙が堪えきれず流れ落ち、ユンは再びごめん、と呟き手でそれを拭った。
「見てたのに、体が動かなかった……。あのレナータが、あんな――。本当にごめんなさい。マイアさんが辛い想いをしているのにも気づかなかった……」