花嫁に読むラブレター
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袖口の広がったゆったりめの羊毛綿のチュニックと膝が隠れるほどのスカート。毛織りの靴下をはき、麻を縄状に編んだぺたんこの履物。街に下りるときは、いつものこの衣服も、少しだけお洒落に着飾る。袖口やスカートの裾に、細かい刺繍がびっしり入ったものを選ぶのだ。靴裏の土や草もしっかりと除いて、誰が見ても恥ずかしくない恰好をする。お金がないことを不幸だと思ったことは一度もないが、みすぼらしい恰好をして、育ててくれているマリーおばさんや、ブラウンおじさんが笑われるのだけは嫌だった。特にマイアはこの間成人を迎えたばかりで、周りの大人と同じようにすました顔で街を歩きたい年頃でもあったのだ。
また背負っている大きな鞄が可愛くない。マイアがお気に入りで外出時には必ず手にしている、麻を編んだ籠にレースで飾りつけされた手提げの鞄とは大違いだ。国から支給されたもので、可愛さのかけらもない真っ黒な色で、手触りもなんだかざらざらしていて気に入らない。マイアは唯一この鞄だけが不満だった。
袖口の広がったゆったりめの羊毛綿のチュニックと膝が隠れるほどのスカート。毛織りの靴下をはき、麻を縄状に編んだぺたんこの履物。街に下りるときは、いつものこの衣服も、少しだけお洒落に着飾る。袖口やスカートの裾に、細かい刺繍がびっしり入ったものを選ぶのだ。靴裏の土や草もしっかりと除いて、誰が見ても恥ずかしくない恰好をする。お金がないことを不幸だと思ったことは一度もないが、みすぼらしい恰好をして、育ててくれているマリーおばさんや、ブラウンおじさんが笑われるのだけは嫌だった。特にマイアはこの間成人を迎えたばかりで、周りの大人と同じようにすました顔で街を歩きたい年頃でもあったのだ。
また背負っている大きな鞄が可愛くない。マイアがお気に入りで外出時には必ず手にしている、麻を編んだ籠にレースで飾りつけされた手提げの鞄とは大違いだ。国から支給されたもので、可愛さのかけらもない真っ黒な色で、手触りもなんだかざらざらしていて気に入らない。マイアは唯一この鞄だけが不満だった。