花嫁に読むラブレター
昔は、あのお城のようなお屋敷を見るのが好きだった。中にはどんな方が住んでいて、どんな豪華な暮らしをしているのだろう。食べるものは何かしら。食事のミルクの代わりに、葡萄の香りが濃厚なお酒を召し上がるのかも。お洋服だって、毎日綺麗にお洗濯ができて、皺なんてひとつもない真っ白なドレスを着ていらっしゃるのだわ。
――そんな、夢を見るようにあの屋敷を眺めていたのが、ずっと遠い昔のよう。
実際には、一か月も経っていないというのに。
けれど、マイアはもう知っている。
あのお屋敷には誰が住んでいて、そして遠くない未来に自分が住むかもしれないお屋敷だということを。