花嫁に読むラブレター
無意識のうちに、マイアは首飾りを握りしめていた。
「何がそんなに不満なの? ねえ、何をそんなに怒ってるのよ。もう滅多に会えないのよ? 家族にいつまでも元気でねって伝えにくることの何がいけないの?」
泣きそうになるのを隠そうと、マイアは口数多くステイルに詰め寄る。
すると、ステイルはようやく体を起こし、マイアと向き合った。唇に、うっすらと嘲笑にも似た笑みを浮かべて。
「家族? 都合が悪くなったらそうやって見て見ぬふりするのは変わらないね」
マイアの頬にかあっと赤がさす。
怒りで唇がわななくのがわかる。
「何なのよ今さら! ステイルが言ったんじゃない! わたしの好きは違うって、そう言ったのはステイルよ!」
「ああ、もう……。うるさいなあ」
「うるさいって何よ! 今だからはっきり言うわ。わたしはステイルのことが本当に好きだった! 本当に本当に好きだったのよ! ずっと一緒にいたかったわよ。あのときステイルに言われてどんな気持ちだったかなんて知らないでしょう。他の誰かにステイルをとられるなんて考えただけでも嫌だった! ……でも、もういい。知らない。どこへでも行くといいわ。もう会わないんだもの。知らない誰かに嫉妬することもないし、それにわたしはユンが好きだもの!」