花嫁に読むラブレター
涙がぽろぽろこぼれて、言葉が次々とステイルに襲いかかる。止めなくちゃ、と頭では理解しているのに、口が勝手に動く。
そんな興奮したマイアの様子を静かに見ていたステイルが、大きなため息をついた。一度まばたきをし、黒目の大きな瞳でじっとマイアを見つめる。
「……うるさいってば」
矢を撃たれたように硬直したマイアの腕を強引に引っ張ると、ステイルは少し冷たい唇をマイアの唇に押し当るように口づけた。
マイアの肩が跳ねるように震え、そのまま固まった。
目を大きく見開いたまま、ステイルの長いまつ毛を見つめる。上下する胸の動きに合わせてまつ毛も揺れた。間近でお互いの視線が絡み合う。吸い込まれそうなほどの強い引力が、ステイルの視線にはあった。
自分の身に何が起こったのか必死で考えようとするが、目の前のステイルを見ると、思考はすぐに真っ白に弾けた。掴まれた腕が熱い。触れている全部が熱い。
重なり合っていた唇が離れると、柔らかな息が顔に触れた。